家庭での野菜栽培において、土の上に敷く材料は欠かせません。しかし、伝統的な敷き藁を見つけるのが難しいこともあります。
オンラインショップや近くのホームセンターで手に入ることもありますが、価格についての心配がある方も多いでしょう。
この記事では、野菜栽培の初心者でもすぐに試せる、簡単に手に入る代用材料をご紹介します。
ただし、紹介するのは代用品であるため、本来の敷き藁と全く同じ効果は期待できない点にご注意ください。
敷き藁の役割と特性
乾燥させた稲や麦の茎、つまり藁は、日本の長い歴史の中で暮らしを支えてきました。
稲作の副産物として生まれた藁は、乾燥することで腐りにくく、保存しやすい特性を持っています。
強度があることも、藁の大きな特徴です。
昔から、布団の代わりや緩衝材、断熱材として利用されたり、燃料、工芸品の素材、さらには家畜の飼料や肥料としても使われてきました。
藁はその多用途性で、私たちの生活を豊かにしてきたのです。
敷き藁の役割とメリット
藁が非常に便利な素材であることは既にご紹介しましたが、特に野菜を育てる際における敷き藁の重要性について、もう少し詳しく解説しましょう。
例えばスイカを育てる場合、苗が植えられた後に茎が伸びてくると、その時点で藁を敷くのが一般的な手法です。
敷き藁がもたらす利点は数多くあります。
病気の防止
水やりや雨が原因で土が跳ね上がると、スイカに土がついてしまい、その結果病気を引き起こす可能性があります。藁を敷くことで、土の跳ね返りを防ぎ、土が直接植物の葉に触れることを避けることができるため、病気を予防することができます。
乾燥と湿度調節
水やりや雨で潤った土も時間が経つと乾燥してしまいます。敷き藁を使うと、この水分の蒸発を抑えることができ、乾燥を防ぎます。同時に、過剰な雨水の土への浸透も防ぎますので、土壌の過湿化も防止することができ、適切な湿度を維持することができます。
雑草の抑制
雑草は、日光、適切な温度、空気、水などが揃うと成長します。特に夏場は、日光が強いため雑草が早く伸びやすくなります。敷き藁を使うことで、日光を遮り、雑草の成長を抑えることができます。
温度の管理
敷き藁が直射日光を遮ることで、土壌の温度上昇を抑制します。また、藁と地面の間には空気の層ができ、これが断熱効果を提供し、土壌の温度が過度に上がるのを防ぎます。これにより、適切な温度を維持することができます。
土壌の活性化
藁には有機物が含まれており、それが土壌内の微生物の活動を促します。例えばミミズは、有機物を食べ、その糞は土壌をより豊かにします。このように敷き藁は土壌の質の向上にも貢献します。
果実の保護
藁がクッションとしての役割を果たし、果実が直接土に触れることを防ぎます。これにより、果実が汚れたり傷ついたりすることを防ぎ、果実の品質を守ることができます。
敷き藁の見つけ方
野菜を育てる際に欠かせない敷き藁ですが、どこで手に入れることができるのでしょう?
ホームセンターとオンラインでの購入
ご自宅でお米や麦を栽培している方は、自然に藁を得ることができます。
しかしそうでない場合、ホームセンターやオンラインショップで探すことになります。
藁は、その汎用性から、農家さんにとっても貴重な資源となっています。
そのため、知人から譲り受けるのはなかなか難しいでしょう。
市場では、国産の藁が10kgで約6500円程度で販売されていますが、830gを500円で提供しているよりリーズナブルなオプションもあります。
ただし、広範囲に使用する場合は、相応の量が必要となります。
この場合、藁の価格は高く感じられるかもしれません。
100円ショップで敷き藁は見つからず
調査したところ、100円ショップでは敷き藁そのものは見つかりませんでした。
上記のように、敷き藁は比較的価格が高めのアイテムであり、主にホームセンターやオンラインショップでの購入が一般的です。
敷き藁を買うのはちょっと高くて難しいなと思っている方も、心配は不要です。
もう少し手軽に手に入る敷き藁の代わりになるものについて紹介しましょう。
100円ショップでも、代用となる商品は見つかります。
例えば、ダイソーなどの100円ショップで見つかる敷き藁の代替品を使用すれば、非常に経済的に同様の目的を果たすことができます。
次に、そのような敷き藁の代替品について詳しくご説明します。
敷き藁の代わりとなる選択肢
マルチングシートの使用
畑での敷き藁代替として最適なのがマルチングシートです。
このシートには、ビニール製と不織布製の2タイプがあり、どちらも100円ショップで見つかります。
ビニール製は1メートル×2メートル、不織布製は2メートル×5メートルのサイズがあり、大きめの面積に対応する長さも用意されています。
これにより、コストを抑えつつ家庭菜園に利用できます。
黒いマルチングシートは、日光を遮ることで雑草の発生を抑えます。
一方で、透明なマルチングシートは日光を透過させるため雑草防止にはなりませんが、土の温度を高める効果があります。
ビニール製は滑りやすく植物のつるが絡みにくいのに対し、不織布製は逆につるの成長を促します。
設置する際は、風で飛ばされないように石を置いたりピンで固定するなどの工夫が必要です。
敷き藁を使う場合は植物を植えた後に敷きますが、マルチングシートを利用する際は先にシートを敷いてから植物を植えます。
スダレやヨシズの活用
もし家に使わなくなったスダレやヨシズがあれば、これらを敷き藁の代わりに利用することができます。
敷き藁を手に入れるのが難しい場合や、費用を抑えたい場合に、多くの人がスダレを代用品として使っています。
スダレやヨシズは、敷き藁と同じように土を保護する機能を果たします。
元々日光を避ける用途で使われているため、土を日光から守るのに適しています。
また、藁とは違い一枚物であるため、風で飛ぶ心配が少ないです。
通気性が良く、土の温度上昇を防ぐことができますが、冷たい季節に土を温める用途には向いていません。
100円ショップでスダレを見つけることができれば、購入してみるのも良いでしょう。
新聞紙マルチングの活用
新聞紙に使われているインクは、環境にやさしい大豆を基にしています。
湿らせた新聞紙を土にぴったりと敷き詰め、その上から植物の苗を植えるという手法は、マルチングシートの代わりとして有効です。
この方法は、植物の葉や果実が直接土に触れないようにすることで病気を予防し、保湿や雑草防止の役割も果たします。
「新聞マルチ」として実際に利用されている例も多く、経済的なメリットも大きいです。
もみ殻を用いたマルチング
もみ殻、つまり米の皮は、ホームセンターやJA、コイン精米所などで安く、または無料で手に入ります。
もみ殻をマルチング材として使うことで、保湿や保温、雑草防止に効果的です。
ウッドチップのマルチング
ウッドチップは、ホームセンターなどで容易に手に入れることができ、園芸愛好家には馴染み深いアイテムです。
ウッドチップを敷くことで、空気の層ができ温度調節や雑草の防止に役立ちます。
自然素材であるため使用後の環境への負荷が少い点もいいですね。
落ち葉マルチング
自宅の庭や公園で容易に集められる落ち葉は、コストをかけずに得られる自然素材です。
落ち葉は日光遮断、保温、保湿の効果があり、さらに土壌の微生物を活性化させる利点も持ちます。
完全な雑草防止は難しいですが、ある程度の防草効果は期待できます。
掃除で集めた落ち葉を利用することで、コストもかからず、環境にも優しいガーデニングが可能です。
腐葉土によるマルチング
腐葉土は落ち葉が自然に分解されてできたもので、保温・保湿効果や土からの泥はねを防ぐ役割があり、敷き藁の代わりになり得ます。
また、土壌を活性化させる効果も期待できます。
市販されている腐葉土も良い選択ですが、自宅で作ることも可能です。
自宅で腐葉土を作る方法
- 落ち葉を集めて、水と米ぬかを加えてよく混ぜます
- 空気が循環するよう穴を開けたビニール袋やバケツに入れます
- 日の当たる場所に置いて放置し、乾燥気味になったら水を足します
- 週に一度混ぜ合わせ、2~3ヶ月で色が黒く変われば腐葉土の完成です
イネ科植物のマルチング
稲わらと同じイネ科の植物も、敷き藁の代わりに利用できます。
ススキやメヒシバ、カヤ、スズメノカタビラ、エノコログサなど。
これらを乾燥させて使用することで、雑草の防止や土壌保護の効果を期待できます。
ただし、種子を含む場合は、新たな雑草の発生に注意が必要です。
「ワラのかわりシート」の使用
敷き藁の代用に使える商品もありました。
見つけたのは「ワラのかわりシート」という商品です。
これらは泥はね防止や乾燥防止などに役立ちます。
ポリエチレン製で水を吸収しないため、腐敗する心配がないのが特徴です。
空中栽培にする方法もあり
スイカやメロンなどの栽培に、空中栽培という方法もあります。
地面を這わせて育てるのと違い、空中栽培は、支柱を使って植物のつるを上向きに成長させる方法です。
上に育てるため、広い栽培スペースが要らず、たくさんの敷き藁を用意する必要もありません。
空中栽培では、栽培スペースを節約できるというメリットがありますが、土からの水分や栄養吸収が減るため、水やりや施肥の頻度を増やす必要があるでしょう。
まとめ
敷き藁の代わりとなる方法を幾つか紹介しました。
完全な代替は難しいかもしれませんが、栽培する野菜や栽培時期に応じて、最適な代用方法を見つけることができるでしょう。
これらの情報が皆さんの野菜作りに役立てば幸いです。