年末に行われる餅つきは、杵と臼を用いて行う伝統的な風景です。
家庭では、今は餅つき機で作ることが多いでしょう。
餅つきという行事は、日本の文化を象徴していますが、実は餅つきを行うべきでないとされる日がいくつか存在します。
12月の29日や31日は餅つきを避ける日として知られており、24日や26日も同様です。
加えて、「赤口の日」「丑の日」「午の日」「卯の日」など、特定の暦の日も餅つきに不向きとされています。
では、これらの日になぜ餅つきを避けるべきなのでしょうか?
その理由を詳しく探ってみましょう。
12月24日、26日、29日、31日に餅つきするのがダメと言われる理由
餅つきをする際、12月24日、26日、29日、31日は縁起が悪いとされています。
その主な理由を以下にまとめました。
日本人は言葉に神聖な価値を見出し、語呂合わせを重んじる文化があります。
この文化は、餅つきにも影響を及ぼしています。
- 12月24日は「4つ苦しむ」と言われ、縁起が悪いとされています。
- 12月26日は「ろくでもない」との語呂合わせから、この日の餅つきが避けられます。
- 12月29日は数字の「9」が「苦」と取れることから「苦餅」「苦をつく」と避けられ、また「29」は「二重に苦しむ」ので縁起が悪いとされています。
- 12月31日は年神様を迎えるための正月飾りが「一夜飾り」と、葬儀と同じ形式であるため、不適切とされています。
一方で、12月29日を、「29(ふく)」=「福を呼ぶ日」と捉え、福餅として餅つきを行う地域もあります。
このように、地域によって異なる解釈が存在するのも、日本文化の魅力の一つです。
さて、語呂合わせの意味については理解できたと思いますが、大晦日の31日に行われる「一夜飾り」や「一夜餅」に疑問を持つ方も少なくありません。
この日に餅つきを行うと、新年を迎えるまでの間に飾る時間が非常に短くなるため、「一夜飾り」と称されています。
では、なぜ「一夜飾り」や「一夜餅」を避けるべきなのでしょうか?
お正月は伝統的に神様を迎える重要な時期とされています。
その準備を急いで一日で終えてしまうことは、礼儀に反すると考えられています。
また、一晩では餅が完全に固まるのが難しいため、鏡餅がうまく形成されないリスクもあります。
お正月飾りについても同様で、特に「9」という数字が入る日に飾る「門松」や「しめ縄飾り」は避けられがちです。
これは「9(苦)」という数字が「苦を待つ」と解釈され、「29(二重の苦を待つ)」として不吉とされるためです。
これが少々強引に感じられるかもしれませんが、先祖が新年の始まりであるお正月をどれだけ神聖なものと捉え、言葉を重んじてきたかを示しています。
というわけで、縁起が悪いとされる24日、26日、29日、31日は避けて、年神様を迎える準備を楽しむとよいでしょう。
28日が餅つきに適している理由
それでは、餅つきに最も適している日はいつでしょうか?
広く認められているのは28日です。
これは、「八」が末広がりであり、物事が発展するという縁起の良い意味を持つためです。
また、「八」の字が富士山のように見えるとされ、日本ではこれを縁起の良い象徴と考えることがあります。
このような理由から、28日は餅つきにとって最良の日とされ、新年を迎える準備としてお餅をつくのに最適な日とされています。
我が家でも毎年、27日にもち米を水につけ、翌28日に家庭用餅つき機で餅をついています。
この日本の伝統を子供たちに体験させることは、良い影響を与えるのではないかと思って続けています。
28日に間に合わなかった場合は30日の餅つきも良い選択!
予定していた28日の餅つきが忙しさのあまりできなかったとしても、心配はいりません。
28日だけでなく、30日もまた餅つきに適した日とされています。
30日であればお正月までまだ2日間ありますので、神様への準備期間としても十分です。
年末になると、多くの家庭で30日に餅つきを行うことが一般的です。
しかし、30日に餅つきを行う場合、もち米の準備を前もってしておくことが大切です。
急に餅つきをしようと思っても、もち米が準備できていないと始めることができません。
餅つきを行う前日には、もち米をしっかり洗い、十分な量の水に一晩つけておくことを忘れないでください。
この準備を怠らなければ、餅つき当日はスムーズに進行します。
赤口の日は餅つきを避けるべき?
赤口の日に餅つきをしない、というのはよく知られた言い伝えですが、実際には厳しく禁じられているわけではなく、むしろ迷信に近いものです。
一般的に結婚式や葬式などで「大安」「仏滅」「友引」といった吉凶の日は気にされることが多いですが、「先勝」「先負」「赤口」といった日は、日常生活ではあまり意識されません。
赤口は「縁起が悪い日」とされ、不運が降りかかりやすいとされていますが、これは魔物が関与しやすい日とも言われています。
実際に悪いことが起こるわけではないものの、不吉な気分を感じやすい日とされるため、重要な行事は避けることが一般的です。
また、「丑の日」「午の日」「卯の日」に餅つきを行わないことも一般的なタブーとされていますが、これには明確な理由はありません。
お正月と餅つき:日本の伝統的なお祝い
餅つきは、新年を迎える上で欠かせない儀式であり、お正月の祝いとして行われます。
これは新しい年を祝うためだけでなく、歳神様(年神様)への供え物である鏡餅を作る目的もあります。
日本においては、お祝いごとに餅を食べる習慣が根強くあります。
雛祭りにはひし餅、端午の節句にはかしわ餅やちまきを食べるなど、各節目ごとに特有の餅が用意されます。
特にお正月は、家族が一堂に会して新年を祝い、年神様を迎える大切な日です。
昔は、1月1日にすべての人が1歳を重ねる数え年という習慣がありました。
「盆と正月が一緒に来たよう」という言葉は、盛大なお祝い事や賑わいを表す表現です。
また、「藪入り」という言葉は、江戸時代の奉公人たちが盆と正月に休暇を取る慣わしを指しています。
このように、お盆とお正月は、日本人にとって非常に大切な時期です。
お餅をつく際には、「歳神様、ようこそ」と挨拶をし、鏡餅を供えて神様を迎え入れます。
歳神様はこの鏡餅に訪れ、その魂が宿るとされています。
そして、多くの地域で1月11日には鏡開きが行われ、鏡餅に宿る歳神様の力を皆でいただくことが一般的です。
特に、農家の場合は、豊作を願う意味でも餅つきは特別な意味を持っていました。
歳神様は、豊作をもたらす神として崇拝されるため、その重要性は大きいのです。
まとめ
幼い頃、祖父母と一緒に餅つきをしたという方もいるのではないでしょうか?
家庭での餅つきは少なくなってきているものの、伝統行事としての価値は非常に大きく、吉日に餅つきを行うことは意義深いです。
伝統が次第に簡素化されている現代において、各行事を大切にすることで、文化を継承し次世代に伝えることが可能です。
餅つきに最適とされている28日に新年の準備を行うことで、心地よくお正月を迎えることができるでしょう!