「正味(しょうみ)」と聞くと、関西の言葉というイメージがあるかと思います。
しかし「正味」には、標準語としての定義があり「不要な部分を除いた中身そのもの」「実際の数量」など、いくつかの意味を持っています。
関西で使う「正味」という言葉は、辞書の定義に共通するところもありますが「実際のところ、ほんとのところ、マジな話、ぶっちゃけ、つまり、…」など、シチュエーションによって微妙にニュアンスが変わる言葉だと理解しておけば、なんとなく意味がつかめるのではないでしょうか。
また、最近では関西出身者だけでなく、若者の間でも「正味」を使っているのを見かけます。
若い人の間でも、言葉の意味合いは「実際のところ」という感じですが、表記としては「しょーみ」の方がしっくりくるかもしれません。
関西弁と若者言葉での「正味」の意味
関西ではよく耳にする「正味(しょうみ)」という言葉ですが、その意味は特有のものがあります。
初めて聞く人にとっては、この言葉の意味を理解するのが少し難しいかもしれません。
もともと、標準語にも「正味(しょうみ)」という言葉があり「不要な部分を除いた中身そのもの」という意味を持っています。
この意味は、関西弁で使われる「正味」もほぼ同じです。
若者たちも、似た意味でこの言葉を使用しています。
ただし、標準語で使われる場合は、主に具体的な物事に対して使われるのに対し、関西弁では話の内容やもっと抽象的な概念に対しても使われます。
簡単に言うと、「しょうみ」とは「実のところ」や「実際には」「本当の」「正直なところ」といった意味になります。
関西以外の人が使う「マジ」に似たニュアンスです。
「正直」や「ぶっちゃけ」とも似ています。
「しょうみ」とは、会話で「これまで色々話したけど、肝心なのは〜だね」と要点をまとめる時に使われることが多いです。
つまり、会話の核心に迫る時に使う言葉です。
「正味」という言葉には、他の言葉で表現するのとは微妙な違いがあるため、関西以外の若者も「正味」を使うようになったのかもしれません。
若者の間では「しょーみ」と表記した方が、雰囲気が伝わるかと思います。
「しょうみ」という関西弁の使われ方とその意味
友達同士の会話でよく使われる「しょうみ」の表現について見ていきましょう。
関西では、人に何かを尋ねてもすぐに真面目な答えが返ってくるとは限りません。
多くの場合、ジョークやおどけた返答が返ってきて、そのやりとりを楽しむのが一般的な風景です。
そんな会話のやり取りが一息ついたところで、
「ほんで、しょうみどうなん?」
と使われることがあります。
「それで、実際のところはどうなの?」「ほんとのところを教えて」という気持ちが込められています。
これは、関西独特のジョーク交じりの会話から生まれた表現です。
また「正味な話~」というフレーズは、色々な話の末に「結局、○○なんだよね」と物事の核心をつくときに用いられます。
例えばこんな時にも使います。
「そのセミナーって何時間?」
「1時から4時までだけど、休憩含めて正味2時間ちょいやな」
ここでは「しょうみ」が「実際には」という意味で活用されています。
「正味」という言葉の本来の定義
次に「正味」という言葉が辞書でどのように解説されているかを説明します。
「正味」という言葉にはこんな意味があります。
- 不要な部分を除いた中身
- 包装を取り除いた商品の重さ
- 実際の数量
- 余分な加算がない価格、すなわち原価
- 見た目には現れないが隠された真実
たとえば、野菜など、皮などを剥いた状態で100gという場合に「正味100g」と使うこともありますね。
これらの意味のうち、関西弁や若者言葉で用いられる「正味」は、特に1番目と5番目の意味合いが強いです。
まとめ
若者や関西弁での「正味」の意味や使い方と、標準語としての定義、その違いについて紹介しました。
「正味な話」と聞くと、横山やすし師匠のことを思い出される方も多いでしょう。
「○○やで、正味の話が」など、頻繁に使っていた表現です。
「実は」「つまり」といった意味で使われることが多いですが、「実質」という意味でも用いられます。
ただ、公の場所や仕事の場では「しょうみ」という言葉を控えたほうがいいでしょう。
この表現は、友人同士の気軽な会話にぴったりです。