ニンニクの漢字表記とその興味深い背景
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ニンニクの漢字表記とその興味深い背景

にんにく 暮らし

ニンニクはその独特な香りで意見が分かれる食材ですが、多くの料理には欠かせない存在です。

日本語で「ニンニク」と言うと、その音に馴染みがありますが、実際にその漢字表記を目にすることは少ないかもしれません。

通常は、ひらがなやカタカナで書かれることが多いですね。

とはいえ、ニンニクには漢字での表記方法が存在し、それも一つではありません。

実際には4つの異なる漢字がニンニクを指して使われています。

この記事では、それらの漢字とそれぞれの由来について詳しくご紹介します。

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ニンニクの様々な漢字表記

一般的にあまり知られていないかもしれませんが、ニンニクは次の4つの漢字で表されます。

  • 大蒜
  • 忍辱

これら全てが「ニンニク」と読まれ、日常生活で欠かせない食材を指します。

これらの漢字があまり知られていない一因は、漢字の難しさにあるでしょう。

普段の生活で、これらの漢字に触れる機会は少ないため、知らない人も多いと思います。

旺文社国語辞典では、ニンニクについて次のように解説していました。

にんにく(葫・大蒜)
[植]ユリ科の多年草。強い臭気がある。葉は平たく細長い。夏に白い小さな花を開き、花の間に珠芽をつける。地下の鱗茎は食用・薬用。おおびる。ガーリック。

旺文社国語辞典より引用

旺文社国語辞典では「葫」と「大蒜」がニンニクの表記として挙げられていましたが、これとは別にもうひとつ、「忍辱」の記載もありました。

にんにく(忍辱)
[仏]どのような侮辱・迫害や苦悩をも耐えしのんで、心を動かさないこと。「―の心」

旺文社国語辞典より引用

辞書では、「忍辱」がニンニクの漢字表記の一つとしてどのような関連があるのかについてはわかりませんでしたが、続いてニンニクの漢字の意味や背景について深く迫っていきます。

ニンニクの漢字とその由来について

ニンニクを指す漢字は「大蒜」「蒜」「葫」「忍辱」の4つがあります。

これらの漢字は、それぞれ独自の背景を持ち、ニンニクの多様な面を示しています。

以下で、これらの漢字の起源に迫ります。

「大蒜」の起源に迫る

「大蒜」は、ニンニクを指す漢字の中で特によく使われる表記です。

この漢字は、ニンニクの一般的な呼び名として辞書にも記載されており、「おおびる」とも読まれます。

「大蒜」の表記は中国由来で、中国語においてもニンニクを指します。

「蒜」は、元々ネギやノビル、ニンニクなど、特有の強い香りが特徴のユリ科の植物全般を指す言葉です。

たとえば、ネギは「葱」と記されますが、ノビルは「野蒜」と表されます。

ニンニクが平均して約60センチの高さに成長することから、「大」という字が組み合わされ、「大蒜」という漢字が生まれたとされています。

「蒜」の由来とは

「蒜」についても解説します。

この漢字は、ニンニクと読むほかに、もう一つの読み方である「ひる」としても知られています。

中国では、ニンニクは「大蒜」だけでなく「蒜」としても表記されます。

「蒜」には、前に述べたように、ネギやノビル、ニンニクを含むユリ科植物の臭いが強いものを総称する意味があります。

「野蒜」がノビルを、「大蒜」がニンニクを指しますが、「蒜」だけでもニンニクを意味することに適しています。

「葫」に込められた意味

「葫」はニンニクを指す漢字で、その起源は中国に遡ります。

「大蒜」「蒜」と並び、ニンニクを意味する中国語表記の一つです。

「葫」や「胡」という字は、外国から伝わったものに対して用いられることが多く、ニンニクがもともと中国以外の地で起源を持つために、この文字が使用されるようになったと考えられます。

「忍辱」の由来とは

一方、「忍辱」はニンニクを示す他の漢字と異なり、直接的な意味ではなく、音の類似から選ばれた表記です。

「忍辱」は「耐え忍ぶ」という意味を持ち、なぜこれがニンニクを指す漢字になったのかは興味深い問題です。

仏教では、ニンニクやネギのように独特の強い匂いがあり、体力を増進させると言われる野菜を食べることが推奨されていません。

そのため、欲求を抑えてニンニクを食べずにいる、またはこっそりと食べる行為と「忍辱」という言葉が結びついたという説や、禁止されたニンニクを密かに食べる際の隠語として使われたとも言われますが、詳細は不明です。

まとめ

ニンニクを表す「大蒜」「蒜」「葫」「忍辱」の4つの漢字と、それぞれの背景についてお伝えしました。

「大蒜」「蒜」「葫」は中国におけるニンニクの認識を示す漢字として広く知られています。

一方で、「忍辱」という漢字は、仏教徒の実践や禁じられたニンニクを秘密裏に楽しむ文化の一面を映し出しているかもしれませんが、その起源は確かなものではありません。